タカやりたいことははっきりしているのに、なぜか手が動かないんです。気づいたら1週間たっていて、自分に嫌気がさしてきて……。



私もあります。やらなきゃと思うほど、逆に遠ざかってしまうというか。意志が弱いのかなって。



それ、意志の強さの問題じゃないことがほとんどなんですよね。動けない自分を責める前に、心の中で何が起きているのかを一緒に見ていきましょう。
やりたい事ができないのは、意志が弱いからではありません。やりたい気持ちというアクセルと、それを止めるブレーキを同時に踏んでいて、そのブレーキの正体が自分でも見えていないことがほとんどです。
ここでは、やりたい事ができない状態の中で何が起きているのか、ブレーキの正体をどう見つけるのか、そして「そのやりたいは本当か」という問い直しまで、コーチングの現場で見てきたことをお伝えします。
やりたい事ができないのは、意志が弱いからですか?
意志の強さで説明できるケースは、実は多くありません。まず切り分けたいのは、止まっている理由が「現実の条件」なのか「心の中」なのかです。
現実の条件というのは、時間・お金・体力・環境のように、そもそも動くための材料が足りていない状態を指します。この場合は、意志を鍛えても解決しません。材料を用意するか、やり方を今の条件に合わせて小さくするかのどちらかで動き出せます。
一方で、時間もあるし、やり方も分かっているのに、なぜか動けない状態があります。多くの人が悩んでいるのは、こちらのほうですよね。ここには、本人も気づいていないブレーキが隠れています。
つまり、動けない自分を「怠けている」「意志が弱い」とラベルづけしても、原因の特定には一歩も近づかないということです。責めるほど疲れて、余計に動けなくなるという悪循環に入りやすくなります。
やりたいのに動けないとき、心の中では何が起きている?


僕がコーチングやコンサルでクライアントさんと話していて、よく目にするのが「アクセルとブレーキを同時に踏んでいる状態」です。
やりたいという気持ちは確かにある。でも同時に、どこかで「やりたくない」「怖い」「まだ早い」という力が働いている。アクセルを踏みながらブレーキも踏んでいるので、エンジンだけが唸って車は進みません。僕自身にも覚えがあります。
この状態がやっかいなのは、外から見ると「何もしていない人」に見えるのに、本人の内側はずっとフル稼働しているところです。時間だけが過ぎて、なぜか疲れている。動いていないのに消耗する感覚は、このアクセルとブレーキの綱引きから来ていることが多いんですよね。
だからこそ、前に進めないときは「もっと頑張ろう」とアクセルを強く踏むのではなく、ブレーキは何か?アクセルは本当か?という2つの点検に切り替えるほうが早く進めます。
やりたい事ができないときの「ブレーキ」の正体は?
ブレーキの正体は人によって違いますが、よく見かけるパターンは大きく5つに分けられます。自分に当てはまりそうなものを、まず探してみてください。
失敗や人からの評価から、自分を守っている
始めなければ、失敗も批判も起きません。やりたい事に思い入れがあるほど、うまくいかなかった時の痛みも大きくなるので、無意識に「始めない」という選択で自分を守ることがあります。動けないのは、あなたを守るための反応だとも言えます。
変化することを怖がっている
やりたい事を始めると、生活も人間関係も、これまでの自分のあり方も変わります。変化が良いことであっても、慣れた状態を手放すのは怖いものです。「現状に不満はあるけれど、慣れた不満のほうが安心」という人は、想像以上に多いんですよね。
完璧にできないなら、始めたくない
準備が整ってから、知識が十分になってから、と待っているうちに、時間だけが過ぎるパターンです。完璧を求める人ほど、最初の一歩の基準が高くなりすぎて、踏み出せなくなります。
「やりたい」が、いつの間にか「やるべき」に変わっている
最初はワクワクしていたことが、周りの目や自分への期待によって義務に変わってしまうことがあります。「やりたい」のはずなのに、思うだけで重くなるのは、このサインかもしれません。
本当は、やりたくない気持ちも隠れている
これが一番気づきにくいブレーキです。「やりたい」と口では言っているけれど、心のどこかに「本当にそれをしたいのか?」という声がある。次の章で、この点を詳しくお話しします。
ブレーキではなく、心身の疲れが原因のこともある?
動けない理由が、ブレーキではなく単純な消耗であることもあります。疲れてエネルギーが残っていない、ストレスで考える力や決める力が落ちている、やりたい事より先に処理すべき問題を抱えている。この3つは、心の分析に入る前に確認しておきたいポイントです。
目安として、好きなことでも楽しめない、睡眠や食事が乱れているという場合は、整理より先に休息を優先してください。ブレーキを探す作業は、余力がある時のほうが正確にできるからです。


そのやりたい事は、本当にやりたい事ですか?
ブレーキを点検したら、次は反対側のアクセルを疑ってみます。「やりたい」と思っていること自体が、本当にそうなのかという問いです。
僕がクライアントさんと話していると、「全然、嫌いじゃなかった」「そもそもやりたい事だった」と、それまでの認識と真逆の結果にたどり着くことがあります。視点を変えると、見える景色が変わるからです。
たとえば、SNSでの発信です。世の中的には「無料で多くの人に届けられる」「価値あるものを届けて人の役に立とう」「自分の経験や知識を発信して喜んでもらおう」という流れがありますよね。ところが、クライアントさんの中には、発信はしたいけれど多くの人に届けたいとは思っていない、そもそも交流したいわけではない、誰かに役立つ発信をしないといけないと思うと憂鬱になる、と話される方もいます。
それでも発信したいのは確かで、その理由は「自分のため」でした。その時感じたことや気づいたことを言葉にしたい、自分を深めたい、自分の人生の記録を残したい、というものでした。これは一般的な考え方と真逆に見えるかもしれません。
こういう時に僕がお伝えするのは、世の中の経営者の中には、自分のためにしかやっていないという人がたくさんいるということです。自分が解決したかったこと、どうにかしたかったことをやった結果、同じような人が喜んでくれただけ、という話は実はたくさんあります。
ということは、入り口は何でもいいんです。崇高なビジョンや志を持って、人のため世のために動こうとしなくても、自分が自分のために行動すればそれでOKです。そう思えた瞬間に、動かない理由がなくなる人は少なくありません。
このように、「やりたいのにやりたくない自分」の正体が、「こうあるべき」という思い込みだったというケースは多いんです。今日、「それって本当?」と自分に聞いてみてください。
好きなことはすぐ続くのに、やりたい事は続かないのはなぜ?
好きなことなら、放っておいても習慣になります。ソファや布団で動画を見続けるのは、誰に言われなくてもできてしまうんですよね。
一方で、慣れないことや、そこまで好きではないことを、やっていないと気持ち悪いくらい当たり前にできるレベルまで持っていくのは、そう簡単ではありません。僕自身もそう感じています。
ただ、自分の好きなことや得意なこと、人生を賭けてやりたいことの延長線上にある「やりたいわけではないこと」は、時間がかかります。それでも、これが自分の才能や特性をもっと開花させるポイントになると分かっているから、やります。
ここで大切なのは、続かないことがあっても、やめたくはないのかどうかを見ることです。続かないけれどやめたくないなら、それは「本当にやりたいこと」の可能性が高いサイン。一気に完璧を目指さず、続く形に変えながら続けていけばいいんです。
やりたい事ができないとき、今日からできる整理の手順は?


ブレーキを見つけるための整理は、次の4ステップで進められます。一度に全部やろうとせず、1つずつで大丈夫です。
ステップ1:止まっている理由を「現実」と「心」に分ける
紙に、動けない理由を全部書き出します。書いたものを「時間・お金・体力など現実の条件」と「怖い・面倒・自信がないなど心の状態」に分けてみてください。現実の条件は具体的な対処ができますし、心の状態は次のステップで扱います。
ステップ2:動こうとした瞬間に何を感じるか観察する
やりたい事を始めようとした時、体や気持ちにどんな反応が出ますか。胸が重くなる、逃げたくなる、急に別のことを始めたくなる。反応そのものに良し悪しをつけず、ただ観察します。この反応がブレーキの手がかりになります。
ステップ3:止まっている理由を、言葉にして誰かに話す
頭の中だけで考えていると、堂々巡りになりがちです。言葉にして誰かに話すと、自分の思考が外に出て、初めて「そう思っていたのか」と気づくことがあるんですよね。僕がコーチングでお伝えしているのも、ブレーキは何か、アクセルは本当かを、他者と改めて確認することで、スムーズに進めるようになるということです。
ステップ4:やりたい事を、今日できる大きさまで小さくする
ブレーキが見えたら、最後にやりたい事を「今日10分でできる形」まで小さくします。大きなまま抱えていると、失敗や変化への恐れも一緒に大きくなり、ブレーキが強く働くんですよね。小さくすれば、ブレーキも働きにくくなります。
なお、疲れがたまっている時や、やることが多すぎる時は、整理より先に休むことが必要です。その場合は、次の記事も参考にしてください。


やりたい事ができない状態を放置すると、どうなる?
動けない状態が続くと、まず自己否定が少しずつ積み重なります。「また今日もできなかった」という小さな失望が毎日重なり、いつの間にか「どうせ自分は」という思い込みに変わっていく。僕が見てきた範囲では、この流れに入る方が少なくありません。
もう1つは、やりたい事そのものが「見たくないもの」に変わってしまうことです。手をつけていない宿題が机に残っていると、その机に近づくのも嫌になるのと似ています。
そして、時間が過ぎることへの焦りが、さらにブレーキを強くします。焦りは「早くやらなきゃ」というアクセルに見えて、実際は「まだできていない自分」への否定なので、ブレーキ側に働きやすいんです。
だからこそ、放置して待つより、小さくても1つ点検してみるほうがいい。悪循環を切る最初の一手は、行動ではなく点検だと僕は考えています。
一人で整理しきれないときは、どうすればいい?
自分のことは、自分が一番見えにくいものです。ブレーキの正体は、本人の中では「当たり前」になっていて、そこに気づけないこともあります。
そんな時は、話を聞いてくれる第三者と一緒に整理するのが近道です。「何が本当にやりたいことなのか」「何が止めているのか」を、問いかけを受けながら言葉にしていくと、自分一人では見えなかった前提や思い込みが見えてきます。
もし気分の落ち込みが長く続いて、日常生活にまで影響が出ている場合は、心療内科や専門の相談機関への相談も選択肢に入れてください。整理以前に、心身を休めることが先のこともあります。
「やりたいことは何なのか」から一緒に整理したい方には、無料の天職診断セッションもご用意しています。まずは気軽に話してみるところから始めてみませんか。


やりたい事ができない悩みに関するよくある質問
Q. やりたい事ができないのは、甘えですか?
A. 甘えと決めつける必要はありません。多くの場合は、失敗への不安や変化への怖さなど、自分を守るためのブレーキが働いています。責めるよりも、ブレーキの正体を探るほうが前に進めます。
Q. やりたい事が何なのか、そもそも分かりません。
A. その場合は「やりたい事を探す」より、「これまで気づいたら没頭していたこと」「やらない理由が見当たらないこと」を振り返るほうが手がかりになります。頭で考えるより、体験の中から見えてくることが多いんです。
Q. 完璧にできないと始められません。どうすればいいですか?
A. 始める基準を「完璧に」から「今日10分だけ」に下げてみてください。小さく始めて、やりながら整えていくほうが、結果的に続きやすくなります。
Q. 疲れていて何もやる気が出ません。
A. まずは休むことを優先してください。疲れがたまっている状態でやりたい事を無理に進めても、続きません。休んで余裕が戻ってから、ブレーキの点検に入りましょう。
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