Aさん何年も前のことなのに、ふとした瞬間に思い出して、胸がぎゅっとなるんです。



それは、あなたの心が弱いからではないですよ。



じゃあ、どうしてなんでしょうか?



その出来事に対する感情が、まだ完了していないからなんだよね。向き合い方を順番に説明するね。
思い出したくない過去があるのは、その出来事に対する感情が、まだ完了していないサインです。感情を知り、感じ、今にどう活きているかを見て、意味をまとめる。この4ステップで、「なぜ起きたのか」が見えてきます。
思い出したくない過去が浮かぶのはなぜ?
嫌な出来事は、うれしい出来事より強く記憶に残りやすいといわれています。危険を避けるために、人の脳はそうできているんですね。
そのうえで、僕は、思い出したくない過去があるということは、まだ未完了の感情があって、それが解消できていない状態だと考えています。
「未完了の感情」とは何?


未完了の感情とは、その出来事の中で感じた気持ちを、きちんと感じきれていない状態のことです。悔しさ、悲しさ、怒り、恥ずかしさ。感じるのがつらくて、心の奥に置いたままになっているものを指します。
置いたままの感情は、消えたわけではありません。だから、似た場面や言葉に触れたとき、ふっと浮かび上がってくるんです。
忘れようとしたり、考えないようにするのは効果がある?
考えないようにしようとするほど、かえって頭に浮かびやすくなることが知られています。忘れるための技術を紹介する本や記事もありますが、感情が未完了のままだと、また戻ってきやすいんですよね。
かといって、無理にフタを開ける必要もありません。大切なのは、安全な形で、順番に向き合うことです。
同じ場面を何度も思い返すのと、向き合うのは何が違う?
何度も同じ場面を頭の中で再生して、自分を責めたり後悔したりする状態があります。心理学では「反芻思考(はんすうしこう)」と呼ばれ、出口がなく、気持ちが重くなっていきます。
向き合うとは、出来事の場面ではなく、そこで動いた感情に目を向けること。そして、その経験が今の自分にどうつながっているかまで見ていくことです。出口のある向き合い方、といえるでしょう。
未完了の感情を解消する4ステップは?


僕が大切にしている流れは、次の4つです。
ステップ1:その時の感情を知る
まず、あの時どんな感情だったのかを知ります。悲しかったのか、悔しかったのか、怖かったのか、恥ずかしかったのか。出来事の説明ではなく、感情の名前をつけることから始めましょう。
紙に「あの時の私は、○○と感じていた」と書き出すと、頭の中だけで考えるより整理しやすくなります。
ステップ2:感情を感じる
次に、その感情をしっかり感じてみましょう。「こんなこと感じてはいけない」と評価せず、ただそこにあると認めるんです。感じきれていなかった分が、ここで少しずつ動き出します。
涙が出てもいいし、怒りが出てきてもかまいません。安心できる場所で、自分のペースで進めてください。
ステップ3:その経験が今にどう活きているかを見る
感情を感じたら、その経験が今にどう活きているかを見ます。あの経験があったから、できるようになったこと、気づけるようになったことは何か。過去を、今につなげて眺める作業ですね。
ステップ4:何を意味していたのかまとめる
最後に、あの出来事が自分にとって何を意味していたのかを、一言でまとめます。言葉にすることで、バラバラだった記憶が、ひとつの意味にまとまっていきます。
この4ステップで何がわかる?
4つを通すと、その出来事が何のために起きて、自分に何を教えてくれているのかがわかってきます。
意味がわかると、記憶そのものは変わらなくても、思い出したときの痛みの質が変わります。「思い出したくない過去」が、「あれがあったから今がある」という過去に変わっていくんです。
自分一人で向き合うのがつらいときは?
当時のことを思い出すと動悸がする、眠れない日が続く、日常生活に支障が出る。こうした状態が続くときは、一人で向き合おうとしないでください。心療内科やカウンセリングなど、専門家に相談することが大切です。
この4ステップは、日常の中で引っかかっている感情を整理するための視点です。強いつらさがあるときの代わりにはなりません。


よくある質問
Q. 思い出したくない過去は、忘れたほうがいいのでしょうか?
A. 無理に忘れようとしなくて大丈夫です。忘れようとするほど浮かびやすくなる面があります。感情を感じて、意味をまとめることで、思い出しても苦しくない状態を目指しましょう。
Q. 未完了の感情とは、具体的にどんな状態ですか?
A. 出来事の中で感じた悔しさや悲しさなどを、感じきれないまま心の奥に置いている状態です。似た場面や言葉に触れたときに、ふと浮かび上がる形で表れます。
Q. 4ステップは、どのくらいの時間がかかりますか?
A. 個人差があります。1回で整理がつくこともあれば、時間をかけて少しずつ進むこともあります。焦らず、できるステップから取り組んでください。
Q. 嫌な記憶が何度も浮かぶのは、病気のサインですか?
A. 嫌な記憶が浮かぶこと自体は、多くの人に起こります。ただ、強い動悸や不眠、日常生活への支障が続く場合は、専門家への相談をおすすめします。自己判断で抱え込まないでください。
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