心理学はすごく人気で、大学で学びたいとか、仕事にしたいとか、資格を取りたいとか、何かしら心理学に関わりたいなって思ってる人も多いと思います。
だけど心理学って一言で言っても幅広く、理解してる人は意外と少ないです。
どんな分野があるのか?どんなことを学べるのか?どんな仕事につけるのか?
その土台となるのは、やはり心理学にはどんな種類があるのか知ることです。
今回は学問として認めてられている全31種類の心理学の分野を紹介してみたので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
心理学って何?
心理学とは、目に見えない『心』の仕組みを理解し、自分や人を助けたりより良い社会づくりに活かそうとする学問の総称です。
より理解が進み実践できてる人は、心=脳、脳と心でマインドとまとめることができますが、今回は心理学の種類に焦点を絞ってまとめていきます。
心理学の種類
では、早速心理学の種類を理解していきましょう。 心理学の種類はたくさんありますが、大きく分けるとたった2つしかありません。 それが、『基礎心理学』と『応用心理学』です。
基礎心理学
人間が全員等しく持っている心の仕組みを真理とし、根本的な部分を理論的に研究、解明していく心理学です。
基礎心理学にあたるのは、生理(生物)心理学・認知心理学・発達心理学・学習心理学・社会心理学・性格(人格)心理学などが該当します。
応用心理学
基礎心理学を踏まえて、具体的な生活や分野(社会・商業・恋愛・スポーツ)で活用することを目的に発達した心理学です。
応用心理学にあたるのは、臨床心理学、産業心理学、教育心理学、認知心理学、災害心理学、犯罪心理学、スポーツ心理学などが該当します
基礎と応用というけど
さきにこれだけは知っておいてください。基礎心理学、応用心理学、どの心理学が2つのどちらにに入るのか?
これを理解する必要は1mmもありません。
もしかしたら、何かのテストで出ることはあるかもしれませんが、人生に心理学を活かすという意味では覚える必要がありません。
例えば、アドラー心理学という学問は正確にはないんです。
アドラーさんが構築した学問がアドラー心理学だってことなだけです。
なので、学問の種類を覚えるんじゃなくて、あなたがどんな心理学が興味があるのかを大事にしてみてくださいね。
基礎心理学の種類を解説
生物心理学
人の心理状況と身体の反応(脳やその他臓器・血流や行動)の関係性を研究する学問です。
感情・思考・行動などが、平常時から特定の状況において、どう影響を及ぼすのか生物学的要因の有無を判断します。
例えば、質問に対してウソをついた場合の変化を例に!
ウソをついている時の心拍数・発汗・表情など、心理的な要因で脳のどの部分が働き、体がどう反応するかを研究した。
この研究から生まれたのがウソ発見器なんです!
認知心理学
人の認知活動(五感の知覚、記憶、思考)を研究する学問です。
人が意思決定・問題解決するプロセスの研究や、人の認知活動の中から一つにテーマを絞り研究する場合もあります。
モチベーション、トラウマの仕組みと改善、学習障害、記憶の上書きなどの人の情報処理に対して直接的に関与する研究です。
トラウマ、セルフイメージ、目的意識などカウンセリング、コーチングに直接的に関わる分野とも言えます。
行動心理学
人の行動を促す根本的な要因や、人の心理と行動がどう関係してるのかを解明することを研究する学問です。
人が行動する時にはどんな感情を抱き、どんな心理状態なのかを理解し、行動と心理の関連を明らかにしていきます。
依存症への行動の矯正から、人が商品を買う心理をビジネスに活かすなど、人の行動心理をあらゆる分野で活用する土台となる分野だと言えます。
学習心理学
人が経験を通じて学ぶことで、行動がどう変化していくのかを研究する学問です。
経験から学習して、心理的・身体的な行動の変化にどんな一貫性やつながりがあるのか関連を明らかにしていきます。
学習心理学で有名な実験といえば、パブロフの犬がありますね。
食事の前に必ずベルの音を聞かされた犬が、ベルが鳴ると唾液を多く出すようになるという学習→行動の変化がわかります。
学校のチャイムなんかもこの学問から応用されています。
社会心理学
ある社会に所属する人々の個人への影響や互いに与える影響について研究する学問です。
特定の社会的環境により、人がどのような振る舞いに変わっていくのか、社会環境と人の心理の関連を明らかにしていきます。
学習心理学で有名な実験といえば、パブロフの犬がありますね。
一種のプラシーボ効果(薬効がない薬でも薬だと信じていれば一定数治る)で生徒が信頼する先生に期待されていると感じることで、行動の変化が起こり、結果的に成績が上がるというものです。
人格心理学
人はそれぞれ独自の人格・性格を持っていることを、パーソナリティーと呼び、パーソナリティを理解するために研究する学問です。
性格=人格と行動の関係性を研究していくことで、こんな性格な人はこんな行動をしやすいという、個性と行動の関連を明らかにしていきます。
性格とパターンのデータを応用し独自化したものがストレングスファインダー、ウェルスダイナミクスなどの診断ツールになりますね。
知覚心理学
人の知覚のあり方を研究する学問です。
知覚は幅広く、知覚には視覚(色覚、光覚)、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(皮膚感覚)、深部感覚、内臓感覚(有機感覚)、運動感覚、平衡感覚、時間知覚(time perception)などがあります。
絶対音感、異常嗅覚など、言葉では表現しにくい分野を科学で明らかにしていく他の心理学とも関連が深い分野になりますね。
神経心理学
脳に関連する神経機能と認知機能(五感の知覚、記憶、思考)や行動の関係を研究する学問です。
事故や疾患による脳の損傷を経験した患者に対して、症状と行動の関連やどのような影響があるのかを解明していきます。
神経学と心理学が融合した医療の専門家チームとなり、治療プランを作成していくこともあり、医療との結びつきが強い分野なんですね。
異常心理学
例外的な心理状態・異常行動を研究する学問です。
精神の病的心理,夢,催眠状態、群集心理など、一般的な状態から逸脱した心理,あるいは不安に対する心理的反応などを対象とします。
LGBT(セクシャルマイノリティ)などの研究も該当します。
異常という言葉が時代的に最適ではないかもしれませんが、一般的ではないという理解で良いかと思います。
言語心理学
人が言語を得るプロセス・言語を生成するプロセスに対する認知処理など、心理的なプロセスを研究する学問です。
人が言語を表現し, 理解する過程における法則性とコミュニケーションにおける言語の機能を解明していきます。
言語学と心理学が融合した、人が生きる上で欠かせないコミュニケーションを科学する分野なんですね。
計量心理学
ある心理的現象を数学を使って測定し、傾向をまとめる学問です。
心理検査の開発、個人や集団に対する心理検査の実施の支援を目的とし、開発された心理検査を企業の意思決定ツールとしたり、従業員や顧客、患者や子どもの心理状態の把握に活用していきます。
数学と心理学を融合し、心理検査を数学的側面からアプローチすることで問題解決を目指していく分野になるんですね。
応用心理学
臨床心理学
主に医療の現場で利用される心理学で、心の病に関する研究を行う学問です。
心の病にどのような症状があり、何がきっかけで発症するのか、より最適な状態に戻るにはどうすれば良いかを解明していきます
精神医学では、医師や治療にあたりますが、心理学者は研究を専門とし、心理士は心の病を持つ人の状態把握・カウンセリング、心理療法を行なっていきます。
医学と融合し、最近特に重要視されている心の病に研究と現場から介入していく分野なんですね。
犯罪心理学
犯罪および犯罪者、それをとりまく周辺事象の理解に心理学的方法論を用いて明らかにする学問です。
研究の対象は幅広く、
犯罪に対する行動、発生機序や意味、捜査手法、犯罪に至った者(被疑者・非行少年・触法精神障害者を含む)や被害者等の諸特徴や行動予測、法廷での証言や鑑定、犯罪者や非行少年等に対する治療的・教育的処遇の効果、一般市民の犯罪及び犯罪者(非行少年)に対する態度や感情、社会における防犯策。
幅広く解明から対応まで行なっていくんですね。
教育心理学
教育分野において心理学を応用し、学習プロセスなどを工夫することにより効率的な教育を追及する学問です。
集団生活での子ども同士、または子どもと教育者の関係性やコミュニケーションなどを取り扱います。
教育における人格形成、学習、成長、評価なども含め、教育の場という特定の場面で心理学を応用していくんですね。
産業・組織心理学
産業分野において、人間心理を研究する学問です。
職業人、労働者、組織の一員、企業集団、消費者行動などの分野で、組織と人のあり方や、商売に関わる集団心理、労働者の心身のケアなどサポートしていきます。
産業と心理学を融合することで、生産や販売能力の拡大、個人の満足度やサポート力の拡大、労使間の調和された人間関係を目指していくんですね。
スポーツ心理学
全スポーツに対する課題に対して、心理学的な側面から明らかにし、より良いスポーツ環境を整えていく学問です。
スポーツ運動の学習、スポーツへの参加・継続の動機付け、スポーツの社会・競技の実践・スポーツメンタルトレーニング・健康的なスポーツに関する心理や人間力向上などを取り扱います。
スポーツと心理学が融合することで、より科学的で健康的なスポーツ教育とそれぞれの分野でのパフォーマンス向上が可能となるんですね。
災害心理学
自然災害・人為災害にあったときの人間の心理や行動を研究する学問です。
災害での死別や悲哀、急性ストレス障害や心的外傷後ストレス障害など、災害の前後の心理の変容や後に残る心の傷などの分析から、災害の予防、人間的な要因の二次被害拡大の防止も視野に入れた取り組みが行われています。
災害と切り離せない日本において、心理学が融合することで、素早い立ち直りに貢献されていくんですね。
家族心理学
1980年代に発展した家族関係における課題に対して、心理学的側面から明らかにしていく学問です。
世代が同じ屋根の下で暮らした拡大家族から、核家族化した現代の日本においては重要な分野です。
子供の養育、独り立ち、不登校、非行、離婚、虐待、老後サポートなどなど、あらゆる関係性に対する研究、心理的アプローチはとても注目されているんです。
学校心理学
教育心理学と近しいのですが、学校教育において、子どもがさまざまな課題に取り組む中で直面する心理的問題の解決をサポートする学問です。
学校教育というより身近な出来事にフォーカスし、社会的な場面や教科の学習・行動・ストレスなどへサポートします。
すべての子どもが安全かつ効果的に学習できる環境を整えるために、心理的なアプローチをしていくんですね。
交通心理学
交通事故や交通トラブル防止を目的に、道路交通での行動特性を研究する学問です。
鉄道、船舶、航空機なども研究対象とするが、自動車の普及と共に発展してきており、道路交通の研究が主となっています。
テーマには、事故と運転者の関連性、運転中の情報処理・行動特性の研究、交通に関わる行動の文化的背景の研究、運転技能・交通安全教育の研究などを担います。
研究成果は、より人間の特性に合わせたトラブル防止システム、機械の設計に役立てられているんですね。
健康心理学
臨床心理学は、メンタルヘルスに焦点があたりますが、健康心理学では、精神・身体・社会的側面から研究する学問です。
ライフスタイルとストレス、生活習慣と疾病、心と体のバランスと社会的背景の関連など幅広い健康に関連する問題に対して、心理学的研究を行なっていきます。
コミュニケーション、誤解と偏見、ストレス対処、発達段階上の障害、グリーフ(悲観)ケア、など医療や社会と密接に関連している分野なんですね。
環境心理学
環境と人(個人、集団)の関係、環境の変化に伴う人の変化を研究する学問です。
自然環境から、人工的な環境まで個人や集団に与る影響、環境の違いにより人にどのような変化が生じるのかを心理的側面から研究していきます。 研究結果から、国の政策立案の支援に役立てたり、環境と人に関連する生活づくりなどに役立てられているんですね。
動物心理学
人間以外の動物の心理過程や行動を研究していく学問です。
動物が種によってどのような行動特性があるのか、また動物に共通する行動特性があるのか、人と共通する部分があるのかなどを行動から分析していきます。 行動の法則性を解明し、動物の本能や認知機能など、動物の行動心理と人の行動心理を比較しながら、社会に役立てていってるんですね。
性心理学
性行動に関連する分野を専門的に研究する学問です。
性行動がどのように獲得され、行動につながるのか。その際のホルモン、脳機能、内的・外的な環境因子などの関連を研究していきます。
研究結果は思春期の性、年代ごとの性に関する問題、パートナーシップ、性犯罪などの社会的問題に心理学的側面からサポートしていってるんですね。
消費者心理学
行動心理学と同じように解釈されますが、消費者心理学は消費者の行動に焦点を絞って研究する学問です。
マーケティング心理学とも呼ばれ、消費者の行動特性や心理状態を研究することで、顧客の年齢層、男女比率ニーズや求めているサービス、感情の傾向、などを分析し、次のサービスや商品の展開・改善に応用していきます。
全ての分野に生産と消費が発生するため、市場調査や対象の特定、ニーズなど幅広く研究結果を心理学的に分析し、人が求める社会、サービス、商品の生産が続いていくんですね。
比較心理学
人間と動物の行動の類似性や相違点を検証する学問です。動物心理学は動物に焦点を当てますが、比較心理学は比較を主とします。
動物が特定の環境・状況・刺激によってどのような行動特性が現れるのか、変化が起こるのかを研究していきます。
動物の特性の研究結果を人の特性と比較することで、人の特性や全ての動物に一貫するものを見つけていけるんですね。
批判心理学
心理学という学問そのものを研究していく学問です。
研究された検証の手法や結果、関連分野や現在のトレンドなどを含めて、各心理学分の研究結果を分析していきます。
専門家がより専門分野で成長発展していくために、研究を客観的に見つめ直す機会を作るという、素晴らしい意義のある分野なんですね。
進化心理学
人類が進化過程でどんな心理的変化を続けてきたのか、進化と人の行動の関係性などを研究する学問です。
人がなぜ生存することができているのか、人がどのように時代に適応し進化していっているのか、情動・思考などを含めた心理的側面から研究していきます。
現代も問題に焦点を当てるというよりも、人が歴史上辿ってきた道のりを、心理的側面から明らかにしていく分野なんですね。
法心理学
法や紛争処理などに関わる人間活動に焦点を当てて研究をしていく学問です。
犯罪心理学と比較されやすいですが、法にかかわる人の活動を心理学的に分析したうえで法システムを展開するところが法心理学の特徴で専門分野になります。
法のプロセスに関わるため、人の道徳意識・法意識・公正性の研究、犯罪観・処遇観も含まれ、法の整備に活用されているんですね。
実験心理学
調査や実験に焦点を当てその結果を正しく理解した上で、他の研究に応用していく学問です。
現代では、各分野・学問がそれぞれ実験・研究を用いて、応用していくスタイルをとっていることから実験心理学は全ての分野に適応されていると言えます。
軍事心理学
軍事に関連する心理学的な問題を研究する学問です。
国防心理学、戦場心理学などとも呼ばれ、適性や軍事行動に伴う様々な心理学的な課題について研究が行われます。
選抜・配置、軍事教練の過程や効果、精神衛生、軍隊生活、トラウマ、PTSDなど、軍事に関わる前後まで研究が行われているんですね。
まとめ
ここまで31種類の心理学の分野を説明してきました。もう、覚えられません・・・僕がこの記事を見せた人にそう言われました。
最初にも書きましたが、今回はどんな種類があるのかを一覧にまとめてみました。
一度知ることができれば、覚えなくても心理学にはたくさん分野があることがわかっていたらいいと思います。
あなたが、どの分野に興味を持ったのか?
そもそも心理学を学び何のために、何をしたいのか?
その疑問にこれから答えられるようになれば、進む方向性に迷うことはなくなります。
ぜひ、考えてみてくださいね。